新・司法試験基本書まとめwiki―倒産法

倒産法
【基本書】
山本和彦・中西正・笠井正俊・沖野眞已・水元宏典『倒産法概説』弘文堂(2015年4月・第2版補訂版)……倒産法全般の概説書。倒産実体法・倒産手続法(各種手続)という独特の構成を採用しており、倒産実体法を沖野眞已教授が担当されている点も特徴的である。多くの論点への言及があるが、自説を明示しない箇所がすくなくなく、あくまで概説書に徹している。

松村和徳『倒産法概論』法学書院(2014年5月)……

伊藤眞『破産法・民事再生法』有斐閣(☆2014年9月・第3版)……実務家必携の破産法・民事再生法の詳細な体系書。実務家は本書か条解をまず参照するといっても過言ではない。第3版においては、条解破産法(ただし初版)や破産管財実践マニュアルなどの実務書を多数引用しており、解釈の安定感がさらに増した。その反面重厚となり受験生にとってはとっつきにくくなったものと思われる。したがって、本書は通読用というより辞書として参照されるべきである。同著者による『会社更生法』有斐閣(2012年11月)も参照されるべきである。

山本克己編著『破産法・民事再生法概論』商事法務(2012年7月)……破産法・民事再生法を並行的に解説。初版1刷では時折誤植がみられるが、出版社のウェブサイトで正誤を公開している(出版社リンク)。上2冊に比べると、流石に網羅する論点は劣るが、破産・民事再生法を学ぶならこれで充分かと思われる。

小林秀之・齋藤善人『破産法(新・論点講義シリーズ3)』弘文堂(2007年6月)……

加藤哲夫『破産法』弘文堂(2012年9月・第6版)……破産法プロパーの体系書。

宗田親彦『破産法概説』慶應大学出版会(2008年11月・新訂4版)

三谷忠之『民事倒産法講義』成文堂(2006年12月).

中島弘雅『体系倒産法I(破産・特別清算)』中央経済社(2007年7月)……類書には珍しく、学説の整理が比較的こまかくなされている。

藤田広美『破産・再生』弘文堂(2012年4月)……ですます調。著者は,旧司法試験時倒産法を選択科目として受かった裁判官。二色印刷,条文索引付き,図表付き(法学セミナー山本和彦書評は本書の図を絶賛している)で初学者にも使いやすい。

中島弘雅・佐藤鉄男『現代倒産手続法(有斐閣アルマAdvanced)』有斐閣(2013年5月)……アルマシリーズだが区分はAdvancedで、コンパクトながらも破産・民事再生のみならず、特別清算、会社更生、私的整理、倒産ADR、国際倒産までカバーする本格的体系書(ただし主たる読者は学生・ロー生を想定)。佐藤教授が清算型手続、中島教授が再建型手続を担当しており、共著の弊害はあまりない。実務的な運用についても詳しい。なお百選は5版に対応している。内容は非常にあっさりしているが、広い範囲をカバーしておりすぐに読める一冊。


【入門書】
山本和彦『倒産処理法入門』有斐閣(2012年12月・第4版)……倒産四法全てを概観した入門書。ですます調。倒産法選択者で本書を読まない人は珍しいくらい。まずはこの一冊から。

松下淳一『民事再生法入門』有斐閣(☆2014年12月・第2版)……法学教室連載の単行本化。民再法概説書。B6サイズなのにハードカバー。非常にコンパクトで破産法と再生法とで規律の内容が共通する事項(否認権や相殺禁止の要件等)については触れていないが、新司法試験で問われる民事再生法としては必要十分。

徳田和幸『プレップ破産法』弘文堂(2015年3月・第6版)……破産法がコンパクトかつ明瞭にまとめられており、一度勉強した後に読むと非常に分かりやすい。頭を整理するための復習用として最適の一冊。

田頭章一『倒産法入門』日経文庫(2006年6月)……破産、民事再生、会社更生を横断的に解説。新書サイズ。

谷口安平監修,山本克己・ 中西正編 『レクチャー倒産法』法律文化社(2013年3月)……主に関西系の執筆者16人の分担執筆による倒産法の教科書(本文287頁)。破産法の解説がメインではあるが、民事再生法(通常の再生手続は約50頁があてられ、中西正教授が担当)、会社更生法についても記述あり。

小林秀之『新・破産から民法がみえる―民法の盲点と破産法入門』日本評論社(2006年9月)……民訴法学者が破産法と民法の関わりを平易に解説。

小河原寧『民事再生法(通常再生編)』商事法務(2009年1月)……元東京地裁破産再生部所属の裁判官による民事再生法の概説書。実務上問題となる論点以外はあっさり。

松嶋英機編著『民事再生法入門』商事法務(2009年7月・改訂3版)……弁護士による民事再生法の概説書。これといった特徴なし。

法曹会編『例題解説 新破産法』『例題解説 民事再生法』法曹会(2009年9月,2013年9月)……「例題解説」とあるが、演習書というよりいわゆる基本書に近い。裁判官が執筆している(と思われる)ので、実務の運用に詳しい。


【その他参考書】
今中利昭・他編『実務倒産法講義』民事法研究会(2009年10月・第3版)……倒産法制を網羅した解説本。理論的な深みはないが実務的な問題を含めて幅広く制度を解説している。

伊藤眞・松下淳一・山本和彦編『新破産法の基本構造と実務』有斐閣(2007年12月)……新破産法で問題となり得る論点を実務家、研究者がディスカッションした研究会の議事録。

山本克己・山本和彦・瀬戸英雄編『新破産法の理論と実務』判例タイムズ社(2008年5月)……破産法の論点150テーマを実務家、研究者が解説。有斐閣の争点シリーズのようなスタイル。

園尾隆司ほか編『新・裁判実務大系28新版破産法』青林書院(2007年1月)……実務家向けの論点本だが目を通す価値あり。

山本・長谷川・岡・小林編『Q&A民事再生法』有斐閣(2006年12月・2版)……民事再生法の演習本。全117問。

☆佐村浩之・内田博久編『リーガル・プログレッシブ民事再生』青林書院(2014年7月)……東京地裁破産再生部に所属した裁判官による実務書。法科大学院生も読者対象。

岡正晶・林道晴・松下淳一監修『倒産法の最新論点ソリューション』弘文堂(2013年9月)……

【コンメンタール】
☆山本克己ほか編『新基本法コンメンタール 破産法』日本評論社(2014年10月)……

伊藤眞ほか著『条解破産法』弘文堂(☆2014年11月・第2版)……少数者執筆による本邦最高峰の注釈書。著者はいずれも倒産法の大家であり、実務家必携の注釈書である。難点は分厚くて高いこと。図書館での参照用に。

竹下守夫編集代表『大コンメンタール破産法』青林書院(2007年10月)……破産法の注釈書。条文のない法律概念などの解説が弱い。

園尾隆司・小林秀之編『条解民事再生法』弘文堂(2013年4月・3版)……民事再生法の注釈書。定番。

才口千晴・伊藤眞監修『新注釈民事再生法上下』きんざい(2010年12月・2版)……民事再生法の注釈書。弁護士の執筆割合が多い。論点の網羅性に欠ける。


【判例集・ケースブック】
伊藤眞・松下淳一編『倒産判例百選』有斐閣(2013年7月・第5版)……定番判例集。解説付100件+Appendix18件。旧版と比べ、民事再生の判例を大幅に増やしており、代わりに「倒産と労働関係」「倒産と租税」「私的整理」の章を削っている。

瀬戸英雄・山本和彦編『倒産判例インデックス』商事法務(2014年3月・第3版)……見開き2頁でビジュアルに判例を紹介。

三木浩一・山本和彦編『ロースクール倒産法』有斐閣(2014年3月・第3版)……解説なし。ローの授業で使うことも多い。内容は非常に細かいものや非常に実務的なものなどバラエティに富んでおり、実力のある指導者のもとでの利用が望ましいか。


【演習書】
山本和彦編『倒産法演習ノート―倒産法を楽しむ22問』弘文堂(2012年5月・第2版)……倒産法演習書の決定版。第2版では1問追加され22問となった。

藤本利一・野村剛司編著『基礎トレーニング倒産法』弘文堂(2013年9月)……

加藤哲夫・中島弘雅編『ロースクール演習倒産法』法学書院(2012年4月)……解説付き。自習用に適する。倒産法演習ノートの対抗馬となるか?

櫻井孝一 編『演習ノート 破産法』法学書院(2010年9月)……

  • 最終更新:2015-09-28 21:05:38

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